あなたはRPAという言葉をご存知でしょうか?
と、あまり認知度は高くありません。
しかし、ソフトバンクの孫社長が「日本復活のシナリオは、RPAとAIだ」と言っているほどRPA(業務自動化の注目度は高いです。
RPAを学ぶための書籍やセミナー、資格なども人気があり、注目をする企業も増えてきました。
実際にRPAと関わりのある仕事はそう多くないため、知らなくても困ることはありません。
ただ、事務作業や単調な仕事がメインになっている人や、事務職をしたいと考えている人は、RPAについて知っておくべきです。
なぜならここ数年、RPAの普及によって事務作業はどんどん自動化(機械化)しているからです。
この自動化の波は大きく、これまでに類を見ないレベルで進化を遂げています。
なぜそれほどまでにRPAの普及が進んでいるのか?
今日本は、少子高齢化が深刻な問題となっています。
2017年時点で人口に対して65歳以上の割合は27.7%(約3,500万人)。
高齢化率は年々上がり続け、平成48(2036)年に33.3%で3人に1人が65歳以上、平成77(2065)年には38.4%に達して、国民の約2.6人に1人が65歳以上の時代になっていくと予測されています。
ちなみに1994年の高齢化率は14%なので、ここ25年で2倍に増加している計算です。
高齢者の割合がどんどん増える=働く人が減って、生産性が下がる。という事態に発展する可能性があります。
さらに働き方改革による、残業規制や有給取得の義務化で、1人当たりの労働時間も減っています。
この流れが進んでいくと
- 定年退職者が増える
- 採用をしても人が集まらない
- 残業ができないのに業務は溜まっていく
- 人手不足による倒産
今までと同じように経営を続けてたら会社がもちません。
こういった状況を打開するするために、【RPA】を導入する企業が増えてきました。
この記事ではRPAの基本的な知識から、RPAの勉強をして、本業の合間にRPAの仕事もこなす、ナオさんにインタビューした内容も併せて紹介します。
目次
RPAとは?
RPA=ロボティック・プロセス・オートメーションの略です。
簡単に言うと、「パソコン上で行う単純作業を、ロボットが人に代わってやってくれる」というもの。
ロボットといってもソフトウェアなので、ソフトバンクのペッパーのように姿形が存在するわけではなく、パソコンにインストールして使う、アプリケーションのようなものです。
日本国内では2016年から導入が始まり、2017年以降に導入をする企業が飛躍的に増加しました。
今後もしばらくは導入する企業が増加すると予測され、今まさにITトレンドのひとつとなっています。
なぜRPAは注目を浴びているのか?
RPAが注目を浴びている理由は以下の通りです。
- 導入ハードルが低い
- 作業時間、コストの削減ができる
- 人材不足を解消できる
- 生産性が上がる
生産工場をイメージすると、RPAがもう少し分かりやすくなるかもしれません。
例えば、ポテトチップスの工場だったら、人はジャガイモを工場まで運ぶだけ。生産ラインにセットすれば、ジャガイモを洗って、カットして、揚げて、袋詰めするまで、すべて機械がやってくれます。
今まで人がしていた作業を機械に任せられるようになりました。
工場内で当たり前の光景になってること(自動化)が、オフィス内にも広がってきています。
オフィスワークをする人の事を”ホワイトカラー”とも表現しますが、ホワイトカラーの仕事を代行するロボットがRPAです。
人よりも早くて正確、疲れ知らずで24時間働けるロボットがオフィスにいるって魅力的ですよね。
また、RPAはソフトウェアなので、工場のように大きなマシンを運んでくる必要はありません。パソコンさえあれば導入ができるという点もポイント。
さらに、ソフトウェアの設定も簡単で、特別なスキルがなくても構築できる手軽さも魅力のひとつです。
人間が行う業務の一部をRPAという名の「デジタルレイバー(仮想労働者)」に任せれば、リソースとコストの削減ができます。
AIの進化の話でよく言われる、「人手がいらなくなる」というのは、このRPAでも同様のことが言えます。
と思う人もいるでしょう。
実際に終身雇用制度は実質崩壊していて、大手企業のリストラが後を絶ちません。また効率化により残業代が減り、手取りの収入が大幅に減ってる人もいます。
企業の経営者は、雇用を増やし、社員の生活を豊かにして、社会貢献したいと思ってます。
ただ一方で、働き方改革による残業規制や、少子高齢化による人材不足に対応をするために、自動化を進めなければなりません。
だからこそ私たちも、RPAのことを知っておく必要があるのです。
RPAを理解しておけば、RPAを使う側になったり、違うスキルを身に付けて転職したり、対策を打つことができます。
また、矢野経済研究所が発表したRPAの今後の市場予測を見てみると
今後拡大を続けると予測される市場です。
RPAを導入する企業が増えていけば、周りの企業も導入を進め、さらに伸びていくと考えられています。
RPAとAIの違い
自動化と言えばAIを思い浮かべる人が多いと思いますが、RPAとAIは何が違うのでしょうか?
簡単に説明すると
・RPA:1~10まで教える必要がある
・AI:1教えたら10できるようになる
という感じです。
RPAは指示されたことのみをひたすら繰り返すロボット。AIは知識を吸収して成長するドラえもんのようなイメージです。
と疑問を持つ人もいるかもしれません。
”自動化”という点では共通してる二者ですが、向いている業務と向いていない業務があります。
RPAは電卓を打ったり、データを入力したりなど「誰でもできる単純作業」が得意で、AIは自動運転や医療現場での病気の発見など、「頭を使った複雑な作業」が得意です。
AIを導入するとなると、まずは「AIに何をしてもらう?」と活用方法を考えるところから始まります。それに伴ってAIに精通した人材確保も必要です。
逆にRPAはどんな企業にも共通する事務作業を得意とし、導入も簡単なので、需要が伸びています。
ちなみにRPAの処理速度は人間の約3倍と言われています。
3倍の速度で24時間フル稼働し続けられることを考えると、RPA1つで人間9人分の生産性に匹敵します。
休むことなく正確に働き続けるRPAは、企業にとってまさに救世主なのです。
RPAの導入事例
それではどんな業務にRPAが導入されているのか、事例をいくつか紹介します。
①製造業での事務作業
・導入前
取引のある企業から取引先別の発注フォーマットに合わせて受注し、事務員がフォーマットを見ながら、手入力で社内の管理用エクセルに入力。
事務員は入力作業に追われ、繁忙期には残業が増え人件費もかさみ、結果的に入力ミスが発生してしまう。
・導入後
各取引先の受注フォーマットごとの入力方法をRPAに指示し、これまで事務員が行っていた手入力作業を丸々自動化。処理が早いだけでなくミスもゼロ。
②サービス業での事務作業
・導入前
Webからサービスの問い合わせや相談を受けた時の顧客データを、顧客管理システムに手入力で登録。
難しい操作ではないが、ページの読み込みに時間がかかるため、作業時間がかさんでしまうことが懸念点だった。
・導入後
RPAに登録作業を指示し、顧客管理システムへのデータ入力をすべて自動化。24時間常に稼働するので、毎日発生していた入力作業を丸々カット。
③保険業での事務作業
・導入前
Webからのデータ化された申込書や契約書を一旦プリントアウトして、自社システムに手入力で顧客データを移行する作業があり、多くの派遣社員やアルバイトを教育し、業務にあたらせていた。
・導入後
RPAですべて自動化したことにより、紙のプリントアウト、データ入力、人材募集・教育など不要に。大幅なコスト削減と作業の効率化を実現。
これらの事例を見て分かるように、RPAは、情報が電子化され常に同じ処理の仕方をする定型業務であれば、なんでも代行することができます。
上記のような、「誰でもできる単純作業」って身近にありますよね。
そのため社内の効率化&生産性アップのキーとして、RPAの導入が各地で大きな成果を上げています。
RPAのツール
RPAツールにはさまざまな種類があり、簡単な作業ができるフリーソフトから、複雑な処理までできる上級者向けのものまであります。
ここでは、その中でも特に導入実績の多いツールをご紹介します。
WinActor(NTTデータ)
国内シェアNo.1のRPAツール。RPAの説明から導入ステップ、導入事例も充実しています。
導入企業:読売テレビ、楽天損保
ipaS(ステラリンク)
簡単に設定できて、低コストで導入できるRPAツール。
導入企業:日通総合研究所
NEC Software Robot Solution(NEC)
企業規模を問わず、幅広い業務を自動化できるRPAツール。
導入企業:ミニストップ株式会社、南都銀行
RPA関連のお仕事をするナオさんへのインタビュー
現在リモートワーカーとして青森県の自宅から採用業務などをこなす傍ら、RPAの知識や構築スキルを学び、RPA関連の仕事も行うナオさんに、RPAを学ぶキッカケや、どこで学んだのか、RPA業務の求人や雇用条件についてもお話を伺いました。
ある企業に入社してすぐ、同期入社の人に毎日付きまとわれたり、待ち伏せされたりして、ストーカー被害に遭ってしまい、それで体調を崩して1ヶ月休職したんです。
この休職中に、たまたまテレビで「RPA特集」を観て興味を持ちました。テレビでは「RPAを在宅で、高収入です」と放送していて、魅力的に見えましたね。
RPAのオンライン学習の紹介と、試験に受かればお仕事も受けられると聞き、「コレしかない!」と思って、すぐに応募しました。
ちなみにストーカー以外にも、セクハラやパワハラを受けたこともあって、会社勤めや人と一緒に働くことに嫌気が差したんですよね。
「1人で自由にしたい。」「誰にも縛られず、関わらず、のんびりやりたい」と思ってた時に、テレビを観て「これしかない」と思いました。
先着100名くらいで応募が殺到していましたが、運よく通って受講でき、そこから2ヶ月くらいRPAの勉強をしていました。
動画やビデオ通話のオンラインではなく、テキストで学びました。
RPAの操作画面をPDFにしたものがあって、細かく操作手順が解説がされているテキストで勉強する形です。
それを見ながら同じようにロボット開発をするというものでした。学習は自分のペースで進めることができたので本当に良かったです。
基本問題・応用問題・発展問題・実践問題の4つの問題があって、その4つに関してはすべて丁寧に作り方の解説が書かれているので、それを見ながら同じ操作をして、ロボットを作りました。
受講期間がトータルで2ヶ月間だったんですけど、一応目安の作業時間があって、最初の30~40時間は4つのロボット作りに費やすことになっています。
この4問が終わったら、OJTをして、さらに4つのロボット作りの問題が渡されて、今度は解説なしで自力で作ります。
解説なしの4問については提出が必要で、1つ作ったら提出して、OKをもらったら次のロボット作りに進むという感じです。
そして、その4問の提出が全部クリアした人が、最後の認定試験を受けられる流れでした。
2ヶ月間で全部クリアしないといけないので、結構詰め込みで勉強してました。
一応救済措置として補習はあったんですけが、その場合は追加料金がかかるので、できれば2ヶ月で終わらせた方がいいですね。
その講座は、「受講後にお仕事紹介します」というのが謳い文句だったんですけど、OJTの4問と、最後の認定試験が完了した人にだけ仕事紹介する形でした。
受講コースは2ヶ月間のコース以外に、6ヶ月間の長期のコースもありました。ITスキルに自信がなくて、短期で集中して時間が取れない人用のコースですね。
費用は5万円でした。本来は10万円のコースなんですけど、私が申し込んだ時期はキャンペーンをしてて、5万円になってました。
ただ、6ヶ月間の長期のコースは、最後の認定試験に別途お金が必要で、2万5千円くらい追加で必要だったと思います。
そうなんです。だから飛びついたんです(笑)
それでさらにお仕事の紹介までしてもらえるということだったので、全然良いなと思って。
資格はないですね。そのうち出てきそうな感じもしますけど。
「IT未経験でもゲーム感覚で覚えられます」という感じでしたが、実際やってみると、プログラミング系の知識は、ないよりはあった方がいいですね。
問題の中に文字入力する場面があり、例えば月曜~日曜までの曜日を入力する時に、「正規表現」でテキストを置き換える知識が必要でした。
プログラミングでは当たり前の知識なのですが、私からすると「何コレ?」って感じで、分かりづらい部分は多かったです。
知識としては出てきます。絶対にいるわけではないですが、プログラミングの知識がもともとある人には敵わないですね。
あった方がいいですね。
求人数も増えてるように感じますか?
増えてると思います。
ただ、「リモートで、在宅でやる」というコンセプトに私はいたので、そこで見るとまったく増えてないです(笑)
今RPA以外のお仕事で、リモートワーカーとして働かせてもらっていますが、会社自体にリモートで働ける土壌がないと、リモートワークはできません。
RPAはまだ新しいものなので、まずは社内にRPAに詳しい人材を確保することが先決だと思います。
会社側としては、RPA構築をしてからの動作テストとか何か微調整が必要になった時に、すぐに確認し対応できる人間が近くにいてほしい。
という思いがあるのかもしれませんね。
絶対そうだと思います。
正社員か、単発でロボットを作る業務委託が多いですね。
例えば、RPAをブラウザの中の動きに適用することが多いのですが、サイト自体の仕様変更があったら、構築したロボットの動きにエラーが出てしまうんです。
サイトの更新に合わせてロボットも更新されるわけではないので、そういう時はすべて人力での対応が必要です。
そういう修正も加味すると、やることは結構あるのかなと思います。
ロボットを3体作る仕事で、1体の単価が決まっている仕事でした。1体5,000円で、合計1万5千円の報酬ですね。
あとは、私が受講した講座を新たに受講する人たちが作ったロボットが、正常に動くかをチェックして採点する、OJTのチェック担当の仕事もしました。
そうですね。月に1回仕事の紹介があるんですけど、専門学校の講師の求人なんかもありますよ。
現場でRPAを構築するだけじゃなくて、教える側になる需要もあるんですね。
そうです。今はたぶんRPAを学びたい人が多いので、教える方の求人も豊富です。
RPAは基本的に時給2,000円ほど。意外と高いんですよ。
時給2,000円に飛びつきました(笑)正社員の固定給で、月に26~27万円でした。
また月1回のお仕事紹介のに地域限定のものがあって、青森の八戸に20日間常駐の仕事がありました。その求人のお給料は20日間で40万円。
お給料めっちゃ良かったんですけど、通えない距離だったので泣く泣く諦めました。
それは時給4,000円くらいの求人でした。
あると思います。すごく単純な動きのロボットもあれば、すごく複雑な動きをするロボットもあるので。
ただ、私の受講した講座は、「ITスキルがない人でもできる」講座だったので、紹介される求人はそこまで複雑ではありません。
SEやってるような、プログラミングできる人はもっと難しいの作っていると思います。
ナオさんが受けてるお仕事はロボット作りがメインで、会社に常駐してやる人だと、ロボットの設計からやるようなイメージですかね。
上級者になるとそうですね。コンサルタントもやっています。
初級の人たちは既存のロボットの保守点検、エラーが起きて止まった部分を修正して動くようにするなど、簡単なところを担当します。
と見かけたことがあるんですが、AIのことにも精通した人材を求める求人もありますか?
そういう求人はあまり見かけないですが、今後出てきそうですね。
私がRPAの講座を受講した会社にAIの講座もあって、RPAの認定試験が通った人たちに、AIの講座もどうですか?って話はありました。
アマテラスっていうAIに対しての講座で、50万くらいして高かったですが(笑)
そうですね。ピンポイント過ぎて、それってすぐに仕事に直結するの?みたいなことは言われてました。
RPAやAIが人の仕事を代替していく、それによって人の仕事が減っていくとよく言われますが
RPAに触れてみて、人が不要になる時代はくると感じますか?
パソコンでやる事務作業はほとんど無くなる気がします。
RPA構築したらまずは動作チェックするんですけど、RPAがやる作業は本当数秒で終わります。
膨大な作業量があっても、人が働かない時間にもすごいスピードで働き続けることができるので、仕事が溜まらず、人が作業するよりも正確です。
ナオさんには別の記事で、リモートワーカーになった経緯やキッカケについてもお話を伺っていますので、興味のある方は以下も併せてご覧ください。
まとめ
RPAのイメージがなんとなく分かりましたか?
僕は今回の記事の執筆とナオさんのインタビューを通じて改めて、RPAやAIの進化・普及によって工場内の機械による自動化のような光景が、オフィスでも当たり前になる時代が来ると感じました。
これからの未来を想像した時、人手による単純作業が無くなるのは明確です。
しかしこの未来がわかっていれば何も怖いことはありません。
新しい仕事に挑戦すればいいからです。
と思うかもしれません。
そうであれば、ナオさんのようにRPAを学んだりリモートで働いたりなど、新たなスキルや働き方を身に付けるために行動しましょう。
時代の変化に応じて自分も変化する。これが重要ではないでしょうか。
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