ロジカル・シンキングとは?論理的思考を仕事に活かすメリットを解説

仕事において、よく論理的な考え方を求められませんか?

 

考えている男性
  • ロジカルシンキングはなぜ必要なの?
  • ビジネスに活用できる?
  • より精度を高めるには?

 

そこで、ロジカルシンキング(論理的思考)についてわかりやすく解説します

 

論理的な思考力が身につけば、問題点を見つけたり、情報を整理したり、適切な結論を導けたりします。

 

ロジカルシンキングは仕事で重要な能力ですので、ぜひ本記事を参考に、考え方の役に立ててください。

ロジカルシンキングとは

ロジカルシンキング(論理的思考)とは、論点に沿って道筋を立てて、事実を基に矛盾なく結論を出す思考法のことです。

 

体系的に整理して考え、思い込みや感情、私情などを挟まずに答えを導き出すのがポイントです。

 

例えば「冬にかき氷の売上が落ち込む」という課題に対して、下記のように考えていきます。

 

  • 購入されない理由:暖かいものが求められるから
  • 具体的な数値:需要が◯%減少
  • 最終的な結論:冬はかき氷の販売を中止すべき

 

ロジカルシンキングでは、論理的に道筋を立てて考えた上で、現実的な対応策を出すことを目的とします。

 

いくら論理的で合理的であっても、誰にも求められていないものや、実現不可能な結論では意味がありません。

 

課題に対する本質に目を向け、論理的な推察で最適な結論を導くのがロジカルシンキングです。

クリティカルシンキングとラテラルシンキングとの違い

ロジカルシンキングと似た考え方に「クリティカルシンキング」「ラテラルシンキング」があります。

 

ロジカルシンキングを深く理解するためにも、考え方の違いを知りましょう。つきましては、それぞれの違いを解説します。

クリティカルシンキングとの違い

クリティカルシンキング(批判的思考)とは、課題に対して事実や結論が出ていても、多角的・論理的に考え続ける思考法のことです。

 

ロジカルシンキングでは、根本的な課題や結果を疑わずに、課題に対して論点を洗い出し、論点に沿って筋道を立てて深堀して考えていきます。

 

ですが、クリティカルシンキングでは、ロジカルシンキングで出した結論や、そもそもの課題が正しいのかなど、さまざまな物事を疑い続けます。

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの図

 

例えば「日本ではiPhone以外の需要は少ない」と結論を出していても「本当に需要はないのか?」「なぜ需要がないのか?」と考えるのがクリティカルシンキングです。

 

相反する考え方ではないので、両方の思考法を活用すれば、洗練された結論を導き出せるでしょう。

 

ラテラルシンキングとの違い

ラテラルシンキング(水平思考)とは、一般的な既存の枠にとらわれずに、新たな手法を模索する思考法のことです。

 

ロジカルシンキングでは、論理的で現実的な対応策を導き出します。その一方、ラテラルシンキングでは、斬新で目新しく、創造的なアイデアが求められます。

 

例えば「パスタを美味しく作ろう」という課題に対し、「質のいい小麦粉を用意する」という先入観を取り除き、「米粉や玄米粉、とうもろこし粉、モロヘイヤ粉で作る」という自由な発想をするイメージです。

 

つまり、ラテラルシンキングは結論を出して落ち着かせるよりも、広がりのある思考力が求められるわけです。

 

変化の激しい現代社会では、当たり障りのない案だけではなく、既成概念にとらわれていない独自の発想も求められます。

 

そのため、ロジカルシンキングとともに、ラテラルシンキングの考え方も持つと日々移り変わる変化にも対応できるでしょう。

ロジカルシンキングのメリット3つ

上昇していくチャートを指さしている様子

ロジカルシンキングによって得られるメリットを紹介します。

1. 問題解決力が上がる

ロジカルシンキングでは、論理的な思考によって問題解決の能力を高められます。

 

順序立てて考えることで、複雑な問題を簡潔に分解し、要素を整理する能力が向上します。

 

整理ができると、問題の本質や原因を把握し、効果的な解決策を見つけられるわけです。

 

また、情報を客観的に評価し、合理的な判断を下せるようになると、情報の偏り(バイアス)を排除して冷静に意思決定を行えます。

 

すると、より良い結果を生み出せて、意思決定の質が向上するため、問題解決力が上がるのです。

2. 適切な提案ができる

情報を整理し、根本的な問題が洗い出せると、自社内で取り組むべき課題がはっきりします。そのため、適切な提案ができるようになるのです。

 

例えば、フレームワーク(枠組み・雛形)を用いて可視化させると、流れのどの部分に課題があるのかが見えてきます。

 

※フレームワークを用いる方法の詳細は後述します。

 

また、私情を挟まず、具体的で正しいデータを用いて合理的な結論を出すと、説得力のある意見を導けます。

 

すると、誰もが納得する、理解しやすい提案ができるでしょう。

3. 正しく合理的に考えられる

ロジカルシンキングを行うと、抜かりのない、正しく合理的な考えとなります。

 

合理的な考えとは、必要なものと不要なものを取捨選択していく思考です。

 

例えば、売上が上がらない理由や、顧客数が伸び悩む原因を追求し、不要だと判断した施策や業務はどんどん切り捨てるイメージです。

 

より重要で必要な物事を選んでいくと、費用対効果も高まり、結果が出やすくなっていくでしょう。

 

効率のいい方法を選ぶことで、売上が上がったり、顧客数が増えたりと、具体的な効果が得られます。

ロジカルシンキングのやり方

ロジカルシンキングをするには、仮説を立てて結論を導き出す推論方法を活用します。そこで、推論方法の手法を3つ紹介します。

帰納法

帰納法の図

帰納法(きのうほう)とは、具体的な事例から一般的な法則を見つけ出すために使用される推論方法です。

 

ただ、確定的な結論を導くというよりも、具体的な事例の中から共通点を見つける方法です。なので、事例が偏っていたり代表的な例でなかったりすると、実用的な結果は得られません。

 

例えば、自社顧客にはどんな年齢層の人が多いかを調べるにあたって、データの集計をするとします。そこで1週間分の来客者の年代を調べ、40代の人が多かったと結論を出すのが帰納法です。

 

しかし、1週間分のデータでは、たまたま年齢層が偏った可能性があります。

 

そこで、次の週も同じ結果を得られるのか調べます。継続的に同じ結果が出たときに、推論が成り立っていると示せるということです。

演繹法

演繹法の図

演繹法(えんできほう)とは、一般的な前提に当てはめて論理的に結論を導く推論方法です。三段論法とも呼ばれます。

 

あらかじめ決められている前提そのものが正しければ、今回の事象も同じように対処することで正しい結果が得られると考えられます。

 

例えば、数学の公式に当てはめて考えれば、数字が変わっても正しい答えがでるはずです。

 

つまり、前回と似たセミナー内容で同じ開催地であれば、参加者数が同じくらいだと考えられるため、同じ会場をおさえておこうと推測するイメージです。

 

ただ、前提が正しく正確であることが重要なので、事前に「きちんと活用できる既存のルールなのか」は確認する必要があります。

弁証法

弁証法の図

弁証法(べんしょうほう)とは、対立する要素や矛盾を含んだ反論を出して、本質を追求する方法です。

 

弁証法は3つの段階から形成されています。

 

  1. 論点を決める
  2. 対立する意見を出す
  3. 対立した意見に対して、結果を統合したり矛盾を解決したりして結論を出す

 

例えば、

  1. 冬はプールに客が来ないから閉店する
  2. 冬にもプールを開店させたい
  3. 室外のプールは閉じて、室内の温水プールを用意する

のように考えていくのが弁証法です。対立した意見によって、新たな発展を得られるメリットがあります。

ロジカルシンキングに役立つ3つのフレームワーク

ロジカルシンキングに使えるフレームワークを紹介いたします。フレームワークとは、枠組みのことで、共通して用いられる考え方です。

 

フレームワークを用いると、効率的にロジカルシンキングを実現できるので、ぜひ活用してみてください。

1. ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーの図

ピラミッドストラクチャーとは、情報を階層的に整理し、重要なポイントや結論を明確にする方法です。

 

情報やアイデアの整理と表現方法の一つとして使われる考え方になります。

 

上部:最も重要な目的や説得したい結論
下部:上部の要点をサポートする根拠や詳細な情報

 

ピラミッドの形状になるため、情報の詳細度は上部から下部へと徐々に増していきます。階層的に情報が整理できると、論理的な順序で考えられるのです。

 

正しい順序の内容が視覚化されると、他者に伝えるときにも明確になり、誰もが納得できる情報を提供できます。

 

情報を整理したい場合や、コミュニケーションに利用したい場合などに、ピラミッドストラクチャーを活用してみてください。

2. ロジックツリー

ロジックツリーの図

ロジックツリーとは、情報を階層的なツリー構造で整理する方法です。

 

※ツリー構造:一つの親に対して、複数に枝分かれして広がっていく構造。

 

主題を親として、その下に関連するトピックスを分類して展開していきます。

 

すると、情報の関連性が視覚化され、全体の構造を理解するのに役立ちます。

 

例えば「新商品を提案する」という主題に対して

  • 市場調査
    • 顧客層
    • 需要
    • 競合他社の分析
  • 商品設計
    • 商品の機能
    • 使い心地
    • 開発に必要な技術

のように、情報をカテゴリごとに細分化していくイメージです。

 

計画を立てる際や、情報を整理する際などに活用してみてください。

3. MECE

MECEの図
MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)とは、情報やアイデアの整理方法の一つです。

 

お互いに重複がなく、全体を網羅した情報を整理するという意味になります。

 

情報の一つ一つが明確に区別されて、情報に漏れがなくなると、より論理的に見落としなく全体を把握できます。

 

例えば、自社製品を「家庭用品/スポーツ用品」のようにカテゴリ分けすることで、すべての商品が振り分けられ、全体像をつかめるようになります。

 

全体像がつかめれば、情報が整理されるので、足りないものや多すぎるものを分析できるわけです。

ロジカルシンキングの3つの鍛え方

活発に動いている脳

ロジカルシンキングをより使いこなすためにも、鍛え方を紹介します。

1. 論点に沿って筋道を立てる

ロジカルシンキングをする際は、論点に沿って筋道を立てる意識をしましょう。

 

論点からずれていたり、情報が飛んでいたりすると、結論を出すのに時間が掛かり、正確な答えを出せない可能性があるからです。

 

論点に沿って筋道を立てるには、フレームワークを利用して、形式的に内容を整理するのがおすすめです。

 

形式的に考えると、不要な情報を除き、本質的な内容のみが残るなど、複雑な問題を理解しやすくしてくれます。

2. 正しい情報を基に考える

ロジカルシンキングは、前提条件やデータ情報を基に考察していきます。そのため、正しい情報を基に考えなければ、最善の結論を引き出せません。

 

用いる情報が正しいのかどうか、先入観なく見極めましょう。

 

事実だと思っていたことでも、一意見であったり、古い情報であったり、偏った情報だったりする場合もあります。

 

例えば、正しいと思っていたデータが「一人の一意見、10年前の考察内容、事実確認なし」という信憑性が低い可能性もあるのです。

 

情報を集めるときは「どこで、誰が、いつ、何を対象に、どんな目的で」確認された事実なのかを見極めてみてください。

3. 広い視野で客観的に見る

ロジカルシンキングで展開する内容は、広い視野で客観的に見るよう意識しましょう。

 

コミュニケーションに用いる場合はとくに、相手に納得してもらう目的があります。

 

そのため、偏った自分目線の内容では、受け入れてもらえる意見にはなりません。

 

「自分はこう思う」という内容ではなく、「事実は◯◯なので、◯◯の施策が最善」というように、誰もが理解できて納得しやすい内容を目指しましょう。

 

ロジカルシンキングを仕事に活かす方法3選

風景と考えている経営者の男性
ロジカルシンキングをビジネスに活かしたい場合、どんな場面で使えるのかを紹介いたします。

1. 企画会議や商談での発言に用いる

ロジカルシンキングは企画会議や商談での発言に役立ちます。

 

課題が明確になったり、根拠を示せたりと、論理的な発言ができるようになるからです。

 

また、フレームワークを用いて視覚化したプレゼンテーションを行うことで、聞き手が理解しやすく、自分の考えも整理しながら話せます。

 

しっかりと情報を整理して内容をまとめておけば、漏れがなくなるので、相手から質問をされた際にも、明確な回答ができるでしょう。

2. 後輩指導での説明に活用する

後輩指導を行う際にもロジカルシンキングは活用できます。

 

指示を出すときや、仕事の概要を説明するときなど、きちんと目的をおいて内容を展開していくことで、初心者でも理解しやすくなります。

 

ロジカルシンキングは、複雑な内容を整理して簡潔にしてくれるので、誰でもわかりやすい内容になるのです。

 

また、主観的な内容が除かれて、論理的な内容であれば「人によって言っていることが違う!」ということは起きづらくなります。

 

フレームワークに沿って指導すると、どこを改善するべきなのかも説明しやすくなります。目的からずれている部分や足りない部分も見えるため、成長速度が上がっていくでしょう。

3. 複雑な業務内容を整理する

ロジカルシンキングを活用すると、複雑な業務内容を整理できます。

 

例えば、

  1. 目的と方向性を定める
  2. フローチャートを作成して手順を可視化する
  3. タスクを洗い出して優先順位をつける
  4. 問題の原因や結果を分析する

のように順序立てて進めると「何から手を付ければいいのかわからない」という状態から抜け出せます。

 

業務内容を整理できれば、意思決定がしやすくなったり、情報共有がしやすくなったりと、仕事を円滑に進められるでしょう。

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仕事において、ロジカルシンキングは重要なスキルです。ですが、じっくり物事を考えていくと、自分に足りない能力も見えてきてしまいますよね。

 

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まとめ:先入観をなくして物事を解決しよう

ロジカル・シンキングとは何か、メリットや実践方法を紹介いたしました。

 

一つ一つ丁寧に論理的に考えていけば、誤った結論や漏れに気づけます。先入観をなくして、事実を基に物事を解決していきましょう。

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