クリティカル・シンキングとは?批判的思考を仕事に活かすメリットを解説

クリティカル・シンキングという考え方を聞いたことはありますか?

 

考えている男性
  • クリティカルシンキングはなぜ必要?
  • ロジカルシンキングとの違いは?
  • 鍛え方は?

 

このような疑問を持つ方に向けて、クリティカルシンキングとは何か、わかりやすく解説します

 

クリティカルシンキングを身につければ、普段より視野が広がり、仕事も捗るようになりますので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

クリティカルシンキングとは

クリティカルシンキング

 

クリティカルシンキング(批判的思考)とは、課題に対して事実や結論が出ていても、多角的・論理的に考え続ける思考法のことです。課題設定や結論自体に反論し、論理性や合理性を持って判断します。

 

例えば「日本ではiPhone以外の需要は少ない」と結論を出していても、

本当に需要はないのか?
なぜ需要がないのか?

と考えていくイメージです。

 

「批判的(クリティカル)」とありますが、否定的な意味ではありません。論理的で矛盾がないかを探り、論点をまとめて仮説を立てる、本質に近づく考え方です。

 

目で見たことだけがすべてではないので、現実をそのまま受け入れるだけでは足りません。常に結論や自分の考えを疑い推測することによって、先入観で見落としている事実や、情報源の正確さ、事実と意見の混合などを見つけ出せます。

 

決して相手の粗探し(あらさがし)をして、相手自身を否定・批判する考え方ではないので、混同しないよう注意しましょう。

 

他者の否定ではなく、自分が出した結論や考え方を常に疑うことで、質の高い結果を導き出せるのです。

ロジカルシンキングとの違い

クリティカルシンキングと並び、ロジカルシンキング(論理的思考)という考え方もあります。

 

ロジカルシンキングとは、課題に対して論点を洗い出し、論点に沿って筋道を立てて深堀して考えていく思考法のことです。
ロジカルシンキング似ているように思えますが、クリティカルシンキングはロジカルシンキングで出した結論や、そもそもの課題が正しいのかなど、さまざまな物事を疑います。

 

ロジカルシンキングでは、根本的な課題や結果を疑わずに、論理的な答えを出します。

 

例えば「冬にかき氷の売上が落ち込む」という課題がある場合、

 

ロジカルシンキング
  • 寒い時期には暖かいものを欲しがる人が多い
  • 具体的に需要は◯%も減少する
  • 従って冬はかき氷の販売を中止すべき

 

クリティカルシンキング
  • 冬にかき氷を販売するお店は少ないから、チャンスなのでは?
  • 冬用かき氷は考えられない?
  • 冬にかき氷を食べるメリットがあれば売れるのでは?

のように考えるイメージです。

 

相反する考え方ではないので、両方の思考法を活用すれば、洗練された結論を導き出せるでしょう。

クリティカルシンキングのメリット3つ

クリティカルシンキングのメリットを3つ紹介いたします。

本質に目を向けられる

クリティカルシンキングをすると、本質に目を向けられるようになります。

 

論理的な思考で現実味を持った道筋を立てていく必要もありますが、それだけでは視点が少なく、変わりゆく時代についていけなかったり、根本的な課題解決がされなかったりします。

 

思考し続けると、今まで見えなかった物事が見えてきます。「商品を10個売る方法」を考えるだけでなく、「本当に売りたい個数」などを見つけていくイメージです。

 

表面的な部分にしか目を向けないと、日々変化する需要や技術の進歩に置いていかれるものです。クリティカルシンキングによって深堀して考えれば、何をすべきかが見えてくるので、本質に近づけます。

先入観をなくして問題解決できる

人は何かしらの先入観や偏見を持っていますが、クリティカルシンキングをすると、思い込みに気づけます。

 

思い込みがなくなれば、事実に辿り着けて、本質的な問題解決ができるのです。

 

例えば「遅刻は厳禁だけど、残業は問題なし」という先入観があると、良質な時間の使い方は難しいかもしれません。そこで、

なぜ遅刻はだめなのか
なぜ残業はいいのか

を考えてみます。

 

すると、時間を大切に使うという本質が見えてきて、時間の使い方がうまくなっていくわけです。

 

何度も「なぜか?」と疑問や批判を繰り返すことにより、矛盾や見落としもなくなって、よりよい結論を導き出せます。

 

先入観のない議論によって、問題解決や意思決定の効率は高まるでしょう。

発想力が上がり変化し続けられる

クリティカルシンキングをすれば、本質に近づいていくので発想力が上がります。

 

分析し続けて物事を客観的に見ることによって、新たな視点が生まれます。新たな視点は、発想力の源です。

 

例えば、「なぜ多くの人は唐揚げを好んで食べるのか?」を考えてみると、味付けや調理法が好まれる理由だとわかります。それであれば、鶏肉を使わず「大豆ミートでも代用できるのでは?」と考えつきます。

 

すると、肉を使わない唐揚げを提案して、アレルギーがある人や健康志向な人、動物の命について考える人などにも売れる商品ができるのです。

 

発想力があれば、次に何をすべきか、何を改善するのかが明確になるため、変化し続けられるでしょう。

クリティカルシンキングの4つのやり方

クリティカルシンキングのメリット
クリティカルシンキングは、ただ闇雲に批判してみるだけでは考えがまとまりません。そこで、どんな流れで考えてみればいいのか解説します。

結論を批判する

まずは、どんな結論に対しても「本当に正しいのか?」と健全な批判的思考を持ってみてください。

 

そもそもの課題設定から出した結論まで、問い直して適切な内容を探すことによって、本質に近づけます。本質に近づけば近づくほどに、自分の考えの偏りや勘違いが排除されます。

 

ただ否定をするだけで終わらせないよう、注意しましょう。否定するだけではアイデアや発想は生まれません。

 

「この考え方はよくない」と言うだけでなく、「この考え方は、〇〇という内容で考え直してみよう」と次に活かす考察力が必要です。

目的を明確にする

目的が曖昧だと、何を考察すればいいのか迷走してしまい、余計な体力を使うことになります。また、最初に設定していた課題が、本来の目的とずれている可能性もあります。

 

そのため、目的を明確にしましょう。目標達成期限があると、さらに行動が明確化されます。

 

例えば「売上を前年の倍にする」ことが目標であれば、その目的を忘れずに行動指針を定めて、達成させましょう。

 

考えが定まらず目標を変え続けると、何がしたかったのか、わからなくなってしまいます。クリティカルシンキング自体が目的になり、考えることで満足してしまわないようご注意ください。

解決策を考える

課題や目的が明確されたら、ロジカルシンキングを使って解決策を考えていきましょう。

 

課題を解決して目標を達成させるために「誰が、何を、どこで、いつ、どのように」対応するのか洗い出します。

 

対応内容を決める際は、主観的に一つの視点から見るのではなく、客観的・多角的に広い目で見るよう心がけてください。

 

「自分たちの目線ではこのサービスがいい」けれども、「お客様目線で考えればこっちのサービスの方が喜んでもらえる」のように考えてみるのもいいでしょう。

 

広い視野で論理的に順序立てて考えることによって、思い込みによる間違った行動をとらないで済みます。

「なぜ?」かを考える

世の中の流れやニーズは、日々移り変わります。そのため、今日まで需要があったものでも、明日には需要が薄れることは多々あるものです。

 

そこで、一度決定した事項があっても、前提条件に対して「なぜ?」「本当に正しいか?」を考え続けましょう。

 

無意識に決めつけていることがあると、発想力が薄れ、新しい時代についていけなくなります。

 

考えを止めるとビジネスは停滞してしまいますので、常に本質に近づけるよう考えて、成熟した発想を出してみてください。

クリティカルシンキング力の鍛え方

クリティカルシンキング力の鍛え方

クリティカルシンキングのやり方がわかったところで、鍛えるコツも紹介いたします。

正しい情報を集める

クリティカルシンキングをする際は、正しい情報を集めるようにしましょう。

 

事実だと思っていたことでも、一意見であったり、古い情報であったり、偏った情報だったりする場合もあります。

 

例えば、正しいと思っていた論文でも「被験者は10人だけ、書かれたのは20年前、意見も混同されている」という内容であれば、信憑性はかなり低いです。

 

そこで、情報を集めるときは「どこで、誰が、いつ、何を対象に、どんな目的で」確認された事実なのかを見極めてみてください。

 

正しい情報を集めることによって、矛盾なく考えが整理されていきます。

結論は1つだけだと思い込まない

「結論は必ず1つだけになる」と思い込んで考えないようにしましょう。

 

人によって見る目線が異なったり、感じ方がさまざまあったり、環境や時代の変化によって変わったりするものがありますので、答えは1つにはなりません。

 

正しさや意見は人によって変わるものです。1つの事象が起きても、見る人が変われば違う景色が広がっています。1つの方向から主観的にしか見ないと、矛盾点が起きます。

 

物事を多角的に見ると、たくさんの結論が出るものだと認識しておきましょう。

人間誰しも思考に偏りがあることを念頭におく

人間は誰しも思考に偏りがあることを念頭において、クリティカルシンキングするようにしましょう。

 

確証バイアスや認知バイアス(例:ハロー効果)など、さまざまな心理現象が起きてしまうものです。

 

  • 確証バイアス:仮説や信念を検証する際に、支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視・集めようとしない傾向。
  • 認知バイアス:直感や経験による先入観で、物事の判断が非合理的になる心理現象。
  • ハロー効果:ある対象を評価する際に、ある特徴に引きずられて他の特徴への評価が歪められる現象。(ブランド品を身につけている人は仕事が順調だと思い込むなど)

 

自分なりの考え方があるのは当然ですが、偏った意見を持っているという事実は認識しなければなりません。

 

無意識に主観的になっていないか、自分を疑ってみるのがクリティカルシンキングを行うときのコツです。

クリティカルシンキングを仕事に活かす方法

クリティカルシンキングをビジネスに活かすには、どんな場面で使えるのかを紹介いたします。

企画会議での提案に用いる

企画会議で提案する際、クリティカルシンキングによって考え出した発言をすると、周りの人が納得できる意見になります。

 

新たな発想が求められる会議の場では、世の中の人々が抱える課題に対しての解決策が求められます。

 

例えば、「結婚式参列用のドレスは着る機会が少なくてもったいない」と悩む女性に対し、安いドレスを大量生産するだけでは“もったいない”を解決できていません。

 

そこで、レンタルドレスのサービスや、購入時と大きく変わらない値段で売れるサービスがあれば、もったいなく感じていた部分が解消されます。

 

表面的な案では、すぐに淘汰されてしまいますが、本質的な解決策であれば、皆が求める商品やサービスを生み出せるでしょう。

業務を改善する

現在の業務やサービスなどを改善したい場合にも、クリティカルシンキングが使えます。

 

「業務がうまく回っていない」「サービスの売れ行きが不調」というときに、ただ闇雲に他社を真似してみても改善されないことが多いでしょう。

 

そこで、業務が回らない原因やサービスが選ばれない原因を突き止めると、何を改善すればいいのか見えてきます。

 

理由がわかれば、その原因を取り除く施策をすればいいのです。そうすれば、世の中の流れに乗って仕事の運用ができます。

指導時のコミュニケーションに活用する

後輩や部下に指導する際も、クリティカルシンキングは役立ちます。

 

多くの人がやりがちな指導で「もう少し改善してほしい」「もっと踏み込んだ内容を考えて」など、抽象的な発言をしています。

 

しかし、指導された側は

何をどのように、どんな理由で、どんな目的で改善して考えればいいの?

と思ってしまうでしょう。

 

そこでクリティカルシンキングを活用すると、なぜ改善してほしいのか、どんな部分を考えてほしいのかを明確に伝えられます。

 

ただ、なんとなく指導しているつもりでは問題解決しません。本質的な部分を共有できると、同じ方向を見て進めるチームになれます。

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まとめ:常に"なぜか"を考え続けよう

クリティカル・シンキングとは何か、メリットや実践方法を紹介いたしました。

 

いきなり考え方を変えるのは難しいので、少しずつ本質に近づくトレーニングをしてみてくださいね。

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