私たちは毎日、多くの時間を仕事に費やします。
しかし、職場は私たちが最も失望し、弱気になり、圧倒され、嫉妬し、不安になり、いらだち、腹を立て、本当の気持ちを口に出すのをためらう機会の多い場所です。
どうしたら私たちはそのようなネガティブな感情に振り回されず、より大きなゴールに焦点を合わせ仕事ができるのか。
そんなことが学べる1冊です。スタンフォード大学ビジネススクールの超人気講座が完全収録されています。
目次
スタンフォードが教える【本当の働き方改革】の紹介
3部構成、9章からなる内容です。
第1章では目的ある働き方を説き、第2部では職場における自分自身について解説。第3章では成功する人と組織について書かれてあります。
昨今、日本でも働き方改革がうたわれていますが、本質的な働き方改革が学習できるでしょう。
はじめに
この本は、このような出だしでスタートします。
とあるところに、一人の靴の修理職人がいました。
毎日のように朝から晩まで働いて変化のない日々を送っていました。
仕事は退屈でいつまでたっても生活苦から抜け出せないことが嫌になっていました。
そんなとき、ある人物からアドバイスをもらった靴職人は「今までと違ったことに意識を向ける」ことにしました。
彼自身がまるっきりかわり、仕事もこれまでとは違うものになります。この靴職人の話は千年以上もの前のことですが、今の時代にも通じるものです。
あまりにも長い時間を仕事に費やす私たちにとって、この靴職人がぶつかった問題は共感できるのではないでしょうか。
職場では様々な感情を持ちます。多くの人がその感情に振り回されて、本当に大切なことを見失います。
アメリカ最大の調査会社「ギャラップ社」が、職場についてのある調査を行いました。全世界1300万人のビジネスパーソンが対象でした。
アメリカではフルタイムで働く人が1億人以上いますが、その3分の1は「熱意あれる社員」と定義できる存在でした。
自分の仕事や組織を愛して貢献しようと考える人物たちです。
しかし、16%の人は「反感を持つ社員」で職場にいる自分を不幸と感じ、「熱意あふれる社員」が築いた成果を破壊。
残る51%は「熱意のない社員」であり、簡単に言うとそこにいるだけの人物と発表しています。
このような数字は職場の労働哲学が機能していないことを示しています。
ギャラップ社の調査報告では「給与」から「使命」へ組織の文化を変えることが重要であるとわかっています。
自分が頑張って成果を出したにも関わらず、他の人がそれを破壊してしまう・・・こんな経験ってよくありますよね。
先ほどの結果はアメリカでの調査結果でしたが、日本はもっと深刻で熱意あふれる社員の役割はたった6%しかなかったそうで、周囲に不満をまき散らしている無気力な社員の割合は24%、やる気のない社員は70%に達していたそうです。
働くことに関して、大きな変化が求められる時代ですね。こういった社会の中で、会社が変わることも必要なのですが、会社の変化を待っていては、自分の人生が無駄になってしまいます。
そこで、私たちは「働く」ことへの関心を高めて、考え方を改めなければいけない時期に来ています。では、いったいどのように変化しなければいけないのでしょうか?
目的ある働き方のために
例えば話としてこのような話がされています。
第1章の冒頭で、シックハウス症候群について触れています。
1980年代に建築家がエネルギー効率を求めて、建物を密封して隙間風が入らないようにしました。それと同時にシックハウス症候群が起こるのです。
職場の建物も密封された状態で、うまく換気がなされないと認知機能に悪影響であることが記されています。それ以外の職場環境も大切で、長時間労働による生産性低下も指摘していました。
週49時間以上の労働時間では、肉体労働もオフィスワークも生産性が横ばいか低下している結果も取り出し、労働環境の大切さも訴えられています。
様々な面で有害な職場環境を改善することは大事であることがわかります。
働く上では、倫理観やソフトスキルも重要。
ソフトスキルとは、高度な内容をわかりやすく説明するなどの能力(コミュニケーション、適応力、問題解決能力、共感力、創造性、理解力、決断力、クリティカルシンキングなど、他者と効果的に関わる能力)
ソフトスキルの逆で、ハードスキルというものもある。例えば、会計、外国語、プログラミングなどの専門知識や技術的能力などのことをいう。
今の学生は、スプレッドシートの使い方やプログラミングを簡単にこなすなどのハードスキルはあるが、ソフトスキルに欠ける。
ところが、ソフトスキルを教えることは難しく、多くの企業もそういった人材を見つけることが困難な状態だという。
そこで、この本では、ソフトスキルを磨く方法として「マインドフルネス」を提唱しています。
最近、マインドフルネスという言葉を聞く機会も増えてきたのではないでしょうか?
マインドフルネスとは、『今、この瞬間』を大切にする生き方を指します。
マインドフルネスの実践により、ストレス軽減や集中力の強化などの効果が得られるとされることから、21世紀に入り世界中で大きな注目を集めています。
この本では、自分自身の働き方を変える為に、マインドフルネスを取り入れることをオススメしています。
その大きな理由としては、冒頭にもお伝えしように、仕事をする上で、感情に左右されてしまうことが多いからです。また、現代ではいろいろな物が普及して、自分の意識や集中を阻害するものがたくさんあります。
例えば、メールを何度もチェックしてしまったり・・・
感情や集中を阻害する物に左右されなければ、もっと効率よく仕事ができ、自分の能力を高められて、本当に自分にとって必要なものがわかるからです。
そこから、本当に自分がやりたいことやするべきことが見え、よりより人生を歩めるからです。マインドフルネスのあり方は多彩にあるものの、この本では、
「エンボディメント」
「メタ認知」
「フォーカス」
に焦点が絞られています。
エンボディメント
・自分自身の体に意識をむけ、緊張している部分や血行の状態、痛みや快感、ニュートラルな身体的感覚を意識すること。
・不安や圧迫感などあらゆるストレスを出すイメージで深呼吸する。3回ゆっくり繰り返してみる。
・呼吸による瞑想で深呼吸の一歩先に取り組んでみる。ゆっくりと息を吸って吐く行為に集中し、気分を落ち着かせる。
・頭のてっぺんに意識を向け、顔、首、上体、両足と順番に意識を移していきながら痛みがあれば詳しく意識してみる。
仕事で痛みの原因となっていることはないかなどを振り返ってみるといい。(ボディスキャン)
メタ認知
・読書をしているときにその自分をしているか、座っているときに椅子の感触も感じているかなど、
その瞬間に意識を集中させることがメタ認知。
・当たり前のことに聞こえるが、実際に行うと自分が普段、目の前のことに集中していないことに気づく。
・現在の状況を意識することで、職場や人生においての問題対処に効果があることも発表されている。
・儀式的に目の前へ意識をしてみるといいだろう。
フォーカス
・集中して行いたいタスクを、まずは一つ決める。(メールを書くなど)
タスクを一つに決めたら、それ以外の行動はしない。
(新着メールが届くたびにチェックなど)
・タスクを絞るときは、日常に行なっていることを選ぶとよい。
(歯磨きなどの日常行為、バリスタならコーヒーを淹れる行為…)
・慣れてきたらタスクの数を増やす。
タスクに集中するときは呼吸や体の感覚も把握する。
それにより、別の意識があったことにも気づき集中を乱すものが何かを振り返られる。
マインドフルネスと自分の目的は相互に関わりあうため、マインドフルネスの状態であると自分の目的を自覚しやすくなる。つまり、自分が望む人生を歩みやすくなるということではないでしょうか。
そこで重要になるのが、「目的の設定」です。
目的の設定が自分の能力を増大させ、仕事でも最大限の成果をあげるために役立ちます。本書では健康や困難克服にもメリットがあることを解説しています。
目的の設定方法はトップダウン方式とボトムアップ方式があり、自分の目的がわからない場合は両方を実施すると決定できます。
仕事や人生においての目的を明確にしたい人は、ぜひ、取り入れてほしいです。
目的はわかりやすい言葉で表せると効果的ですので、それを目指してみましょう。
また、目的を視覚化して心に刻みやすくするのもポイントです。優先順位をはっきりとさせて、目的に向かい動きましょう。
職場でも自分自身であるために
第2章では冒頭で、ビルゲイツの言葉を引用。
人を動かす偉大な力には「利己心」「他人への思いやり」が必要という言葉から始まります。
思いやりの心
思いやりとはよく聞く言葉です。相手の痛みに気遣うことなど、思いやりについては私たちが理解しています。
ところが、実際に思いやりを持った行動をするのは大変です。同じ会社に勤めている者同士でも、気に入らない人がいれば失敗を望むこともあります。
思いやりを突き詰めると、自分の不完全さを自覚して他人の不完全さに寛容になることと説いています。それに気づくには、マインドフルネスの実践が必要。
思いやりを持てば人とつながることができて、職場での人間関係も良好になる。
思いやりはただ単にいい人を演じるのではなく、相手の意見や物の見方を有効と考えるのか、さらに言うと自己中心的な分析よりも相手の考えを重視すべきことです。
幸福と仕事の成功には因果があり、最終的には他人との有意義なつながりの構築が必要。つまり、思いやりは私たちの生活の全てに恩恵があることを理解すべきでしょう。
思いやりを習得するには、「違い」を知ること。
人間は様々な考えを持ち、人それぞれ価値観も違います。自分との違いを受容することが、思いやり習得の第一歩だと考えられます。
自分自身とうまく付き合う
他の人だけではなく、自分自身への思いやりも必要。
一見すると、自分への思いやりは自分を甘やかすことにもつながりそうです。しかし、自分を責め立てて、無理な目標を設定するとパフォーマンスの低下につながると述べられています。
他人への思いやりと同等で自分への思いやりは大切であるものの、どうすれば自分を思いやることができるか、書かれています。日常生活レベルで実践できることもありますので、実践して欲しいところです。
感情が授ける知恵
会社ではミーティングなどで複数人が意見を出し合います。
時には意見の食い違いがあることもあり、感情的になる場面もあるでしょう。ところが職場において、感情を抑えることは多々あります。
感情を抑えつければそれだけ暴発する可能性が高くなります。感情が暴発してしまうと、最終的に目標や目的を阻害してしまうでしょう。
マインドフルネスによって感情をコントエールできるようになれば、困難な感情を切り抜けていけると解説。
また、感情を押さえつけることで生じるデメリット、「エネルギーの消耗」「逆効果」「健康阻害」「仕事上の人間関係の損失」「個人的な人間関係の損失」「気分の落ち込み」が深掘りされています。
感情のコントロールでマインドフルネスを実践すると、感情を抑制することなく自分の内面にアプローチできるようになると説き、感情の受け入れや自分の意見は主観的なものだと再認識することがポイントと解説されています。
失敗と振り返り
第3部では成功する人と組織の習慣について解説してあります。
上手に失敗する
学生でも社会人でも、「振り返り」「フォードバック」はよく行います。
物事に対して、どのようにアプローチして結果がどうだったかを検証することで、次回の行動に活かす。それが振り返りです。
仕事において、従業員それぞれが過去の経験を振り返り、そこから学べるような機会、システム、仕事の流れを作っておくこと。
進歩するには、注意深い振り返りを持続的に行うことがポイント。
些細なことの積み重ねの重要性を筆者は述べています。日々の多忙さに私たちは、振り返りを怠ることもあります。1日の終わりに振り返りの時間を取ってみてはどうでしょうか。
さらに「失敗するアプローチ」「成功するアプローチ」についても解説されています。両者は日常的な振り返りには適することが示されています。
勇気とレジリエンス
勇気という言葉もよく聞くものです。
本書では、従業員が勇気を持つことが企業にとって重要であることが書かれてあり、印象的です。
アリストテレスの「勇気は、人間の人徳のうちで最初に来るべきものだ」という言葉を引用し、目標達成にも必要なことであることが理解できます。
勇気が持てず、職場での不平不満を従業員が口にしない場合は、従業員満足度も低いことも示され、従業員が職場で非生産的な振る舞いをすることが解説されています。
勇気を持つための3つの要素を取り上げ、目標達成に向かう姿勢が述べられました。
会社では上司が勇気ある行動を自ら取ることで、部下がそれに従って行動することが大事。当たり前のような意見ですが、難しいことではないでしょうか。
目的意識を持った組織
有害な職場環境を改善するには、リーダー主導のアプローチも大きな効果をもたらします。
組織レベルでマインドフルネスを実行し、目的達成に向かうことも可能。社員の必須研修にマインドフルネスを導入している企業は少ない。
マインドフルネスを実践すれば、従業員の定着率や満足度も向上するというデータがあり、実践しないのはもったいないと著者は提唱。
また、マインドフルネスを導入した指針や採用を取り入れることも有効。
とはいえ、トップダウンでマインドフルネスが発言されると従業員は抵抗を覚える可能性もあります。
マインドフルネスを効果的に発揮するには、職場の日常に織り込む必要があるでしょう。
月に一度の瞑想やミーティングをしたところでマインドフルネスの効果は発揮されません。日々の業務の中に入れてこそ効果があります。
日々のマインドフルネスの実践が、私たちの仕事にいい効果をもたらし、職場での時間を自分の目的の一環(使命)とみなせるでしょう。
最後に
本書はマインドフルネスを軸として、仕事に対する活用方法を解説しています。日本で始まっている「働き方改革」は労働人口減少に関する生産性向上を目指したものです。
長時間労働の是正や非正社員と社員の格差解消、高齢者の就業促進などが主な柱となっています。
しかしながら、働く人間の「心」に着目することも大切です。
本書で提唱されているようなマインドフルネスの実践などを通して、心身ともに健康的に働いてこそ生産性が上がるのではないでしょうか。
そのような意味で、本質的な働き方改革を目指したい人、企業には良書であると考えます。
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