オープンイノベーション大学ってなんだろう?
XやInstagramなどでオープンイノベーション大学(通称イノベ大)を目にして、気になっている方もおられるのではないでしょうか。
まず先に、イノベ大が何かを簡単に説明すると
「実践的なビジネススキルを無料で身に付けられるコミュニティ」
です。
- なぜ無料なのか?
- どのようなスキルが学べるのか?
- どんなシステムなのか?
よくある疑問をビジネス映像メディア「PIVOT」にて、イノベ大で講師としてもご登壇いただいている神田昌典氏をお招きし、イノベ大創設者の田窪と共に詳しく解説しました。
※本記事は動画の内容を基に作成しています。映像でご覧になりたい場合は、上部の画像をクリックしてください。
<出演者の紹介>
アルマ・クリエイション株式会社 代表取締役/一般社団法人リードフォーアクション 代表理事
上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済部に勤務。戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活躍後、1998年、経営コンサルタントとして独立。
株式会社Maneql 代表取締役/オープンイノベーション大学 創設者
2006年に起業。デジタルマーケティングの専門家として、ITスタートアップ・起業家フリーランスの養成、Webプロモーションを手掛けている。現在はLINE公式アカウントの拡張ツール:Lステップの開発・販売を手掛ける。
イノベ大とは
まず「イノベ大」とは何かを、簡単にご説明いただけますか?
動画編集やプログラミング、Webデザインなど、現時点では合計10個のコースを用意しています。
生徒がいいですね。無料目当ての人が集まってくるのではないかと懸念もありましたが、やってみるとみなさん非常に熱心。学びは前向きな人がどれだけいるかによって受け取るものが違いますから、非常に気持ちよく講義をさせていただきました。
オンラインセミナーの様子
参加人数はテーマによって異なりますが、Zoom開催だと1,000人くらいは集まります。先日開催したChatGPTのサミットには、延べ1万人にご参加いただきました。
会場の様子
エネルギーの高さが1番ですね。私もいろんなところで講義をしますが、学びを大学の講義のように、しっかりと正しく理解しないといけないという生徒さんってすごく多いんですよ。
自分の意見をなかなか表明できない学びの場が日本は比較的多いですが、イノベ大には積極的に自分の意見を言える場があって、それは日本ではめずらしいと感じました。
なぜ無料?
運営費はどこから出てるの?とよく聞かれるんですが、弊社は「Lステップ」というLINE公式アカウントを活用したマーケティングツールの開発と販売をしていて、その収益の一部を回して運営しています。
イノベ大を運営して5年ほど経ちますが、運営費はこれまでに1億6千万円ほどかかっています。ボランティアでやってるの?と聞かれることも多いですが、ボランティアでやっているわけではありません。中長期的にみれば、当社にとっても利益になるんですよね。
例えばLステップがうまくいったのは、イノベ大があったからだと思っています。
Lステップの価値を上げるためには、利用者の方々に成果を上げていただく必要がありますが、ダメなマーケティング方法でLステップを組んでも成果は出ません。
成果を上げるには、利用者自身にマーケティングやライティングなどのスキルを身につけていただく必要があり、イノベ大はLステップを効果的に使っていただくための学びの場、トレーニングの場として役立っています。
イノベ大で学んだ知識やスキルによって結果が出ても、お客様は「Lステップのおかげで成果が出た」と話していただけるので、結果的にLステップの利用者数増加につながります。
また、Lステップを運用する中ではマーケティングやライティングの他にも、画像制作や動画制作が必要になる場面もあります。イノベ大ではデザインや動画編集も学べますが、1人ですべてのスキルを習得して対応するのは困難です。
コミュニティには「マーケティングを学びたいデザイナー」のような、何かしらスキルを持った人も多く、自分にはないスキルを持った人とつながる場でもあるので、協業できる仲間が見つけられる。すると、より成果につながりますよね。
元々は有料で提供していたカリキュラムなんですが、無料にした方が学べる人が多く、中長期的にみると無料の方がメリットが大きいと判断し、無料での提供にしました。
イノベ大は今の時代だからうまくいったと思っています。
当社は年商30億円規模になってきましたが、社員は事務の方含めても15名ほどしかいません。
どうやって事業を回しているかというと、フリーランスの人たちのコミュニティで成り立っているんですよね。
コミュニティの中から、起業や独立する人も生まれていますか?
生まれています。イノベ大の中で出会った人たちで会社を立ち上げるケースも出てきています。
学びにハマるシステム
「学び放題」という、LINE上で好きなタイミングに無料で学習できるコンテンツを提供している他、リアルで講師から学ぶ合宿や実践会※、あるいは神田先生のような外部講師を招く1Dayセミナーも定期的に開催しています。
※合宿とは、2日間連続(主に土日)で開催される勉強会
※実践会とは、専門スキルを約3ヶ月かけて学ぶコミュニティ
グループワークや課題を通してアウトプットをたくさんしてもらい、かつ参加者のみなさんにしっかりフィードバックをする環境を整えていますので、講師の他にサポートスタッフが複数名参加します。
グループワークの風景
合宿や実践会については学びの質を担保するために、上限人数を決めて開催しています。
Eスコア(学習意欲をポイント化するマーケティング手法)を取っているので、点数が高い人=よりアクティブで活発に勉強している人にご案内をして希望者を募り、人の目で審査をして参加者を決定する仕組みです。
有料講座はお金を払えば誰でも参加できますから、そういう意味では有料の講座より厳しい部分もあります。
ファネルにしているところですね。例えば登録したばかりでまだ半信半疑の人に、いきなり課題提出を求めても重たいなと思うんです。
まずは動画を観るだけのようなライトなところからスタートして、1Dayセミナーに誘導したり2日間の合宿に誘導したり、少しずつステップアップできる仕組みにしています。
卒業する人はあまりいません。お金がかかっているわけではないので、やめる理由がないのがひとつですね。
カリキュラムは少しずつ増やしていますし、例えばChatGPTが話題になれば専門家を呼んでセミナーを開催するなど、最新の情報をキャッチできる場にもしていますから、参加し続けた方がメリットが大きいわけです。
スキルが高まって仲間ができて、成功する確率は上がっていると思います。
私もそうでしたけど、最初って起業のやり方がわからなくて、いろいろ学んでいるうちにお金がなくなる「学び貧乏」みたいな状態になり、うまくいかずに終わるケースもあるんですよね。
学びと挑戦を続けている人は、成功に近づいていると思います。
ビジネススクールのビジネスモデル
ビジネススクールには2つあって、1つは正式な学位が取れるもの。もう1つはリスキリング、自己研鑽のために通うもので、イノベ大のようなスクールです。
企業が将来採用しようという意図を持って、優秀な人たちを支える仕組みがどんどん出てくると思います。出世払いメカニズムのようなものですよね。
デジタル時代の今、スクールを立ち上げる人は増えていますが、学位の取れないビジネススクールは淘汰されていき、優良なものしか残らないでしょう。
優良なスクールとは何か?というと、出口が用意されているスクールです。例えば副業ができるスキルが身につけられても、仕事を獲得するのはまた別。その後のフォローがなければ路頭に迷ってしまう人も少なくありません。
イノベ大の場合、きちんと参加してスキルを磨き、人脈形成をすれば仕事をオファーしてもらえたり、仲間同士で仕事を発注しあったり、路頭に迷うことはない点は大きな魅力だと思います。
今のところ考えてないです(笑)
ただそこがひとつの課題というか、最終的には私がいなくても、学ぶ環境が成長していけるような仕組みを作っていかなければいけないと思っています。
今はLステップ事業があるのでイノベ大を無料提供できていますが、AI時代ですから淘汰される可能性もありますよね。そんな中でも続けていける仕組みづくりが必要だと思っています。
アメリカでもそうですけど、ビジネススクールとか大学は新規参入が難しいというか、新規参入ができたとしてもブランド高になるところってあんまり出てこないじゃないですか。
日本でも東大や慶応、早稲田あたりがずっと有名ですよね。なんで新規参入で強いブランドは生まれにくいのでしょうか?
生まれる可能性はありますよね。
例えば日本でも、通信制の高校でいきなり有名になったところもありますし、大学のモデルが変わった時に一気に有名になるところもあります。ハーバードよりも入学が難しいみたいなコンセプトで、ブランドを上げた学校もありますよね。
ただやっぱり、ハーバード大学やスタンフォード大学などのブランドには歴史も関係しますから、ここを変えていくのは難しいです。
いま求められるスキル
今は「付加価値の作り方」が大事だと思っています。
私自身、数年前までは「ITスキルがあれば生き残れる」と言っていたんですが、AIが民主化されてITスキルから奪われていて、無力化し始めています。
将来的には歌でも映画でも、AIが作ってくれるようになると思いますが、人が作ったものとは価値が違いますよね。最近はYouTubeで学べることが増えましたけど、それでもリアルのセミナーやワークショップに通う人は大勢います。
それは同じ話をしていても、リアルとは感じる価値が違うからですよね。なので、どのように価値を作るかを人が考えることが大事だと思います。
リスキリングではないですね。教えられるスキルに関しては、AIに一瞬で追い越されてしまいますから。すでに今AIに聞けば、ほとんどの答えは得られますよね。
では何が重要かというと、AIにできないもの。
AIにできないものは5つあって、僕は5Pと呼んでいるんですが、
- Purpose :目的を生み出すこと
- Passion :情熱
- Position :自分がどこのポジションを握るか
- People :チームワーク
- Playfulness:ユニークな視点、遊び心
中核に何があるかというと、人間ならではの内発的な動機です。なのでスキルよりも、あなたは内発的な動機をどう持つか?という教育が必要です。
そういう意味では「何のために生きてるんですか?」という哲学的な問いが必要かなと思います。
リベラルアーツでしょうね。それから「美とは何か?」を考えることが重要です。
これまではパソコンやバーチャルの世界に結構な時間を費やしてきましたが、おそらくこれからは外に出て人と関わることが、最も重要なスキルビルディングの環境だと思います。
両利きにならなければいけないわけですね。
ビジネスではオンラインとオフラインが融合しているように、学びも融合してやるべきだと思います。
融合をかなり意識して作られているわけですよね。
コミュニケーションの初めの第一歩として、オンライン会議は非常に便利なんです。
ただ、相手とどんな付加価値が作れるかを考えようとした時に、リアルの関わりは外せません。価値を生むというのは顧客やパートナーがいて初めてできることですから、そこはリアル以外ではなかなかできないですよね。
10年後
イノベ大やビジネススクール、学びのあり方が10年後どうなっていくとみていますか?イノベ大は10年後も続いていますよね?
そうですね、イノベ大はもともと10年、15年先を見据えた中長期的な運営をするつもりで始めたものですから、続けていく予定です。
Lステップ事業は今はうまくいってますが、変化の早い時代ですからいつかは淘汰されるでしょう。そうなった時に、Lステップに代わる新たな商品やサービスが必要になってくるわけですが、社員15人で画期的なものが作れる可能性は低いと思っています。
イノベ大で新しいビジネスを考えて形にして、コミュニティの人たちと一緒にビジネスをやっていく、このようなモデルを作りたいと考えています。
AIですね、ヒト型ロボットが人間を教えるような状況、これは10年後と言わず来年にもきているかもしれませんよね。
10年後というと、人類自体が大きな進化を体験し始めているでしょう。AIと人間がものすごいスピードで発明をする、全員がアインシュタインと言えるくらいエキサイティングな状態になっていると思います。
ただ、学びに対して意欲が持てないと、与えられるモノの空間の中で生きてるだけになってしまうので、生み出す側に回れるか、消費する側に回るかは大きなポイントです。
いかに生み出す側の人間を多く作っていくか、これは国家戦略なんじゃないですかね。
先ほどおっしゃってた「内発的動機」と関わってくるわけですね。
ビジネス書は今後も残ります。
今はYouTube動画で手軽に学べますが、解説が断片的なんですよね。ビジネス書のはじめから終わりまでを説明できているものはないですから、足りていません。
思考0から1を生み出すビジネス書は価値がありますので、残っていくと思います。
どうでしょうね(笑)書き続ける意思はありますよ。
本と動画とリアルと、さまざまなものが組み合わせになっていくということですね。最後に田窪さん、ビジネススクールが提供すべき真の価値とは何か、伺えますか。
私自身のやりたいことは、中小企業や個人事業主の人が、豊かで幸せになるためのスキルを教えたいと思っていて、そのためには時代の変化に合わせたカリキュラムの提供が必要です。
ただスキルだけでなく、モチベーションの維持や目標達成の方法、そして同じ価値観・目的を持った仲間を見つけられる環境を支援していきたいと思っています。
独立自尊ですね。ビジネスというのは稼ぐ力であり、誰にも影響されないで独立して、自分がこれはよしと思ったことができる、その自由を提供するのがビジネスの力だと思うんです。
ほとんどの人は今後、日常のさまざまな作業をロボットに代行してもらえる状態が、そんなに遠くない未来にやってくると思います。
その時に生きがいを何に求めるか?と考えると、やはり自己実現ですよね。自己実現を叶える上でビジネスは非常に有益なツールで、自分の独立自尊を勝ち得るには、ビジネス教育が必要だと私は思います。
そのためにも、イノベ大をフル活用してほしいということですよね。
今後どのように進化させていきたいですか?
お客さん同士で、学びのペイフォワードが起きてくるような環境を作りたいと思っています。
学んだ人が次の人に教える流れができれば、多くの人にいい学びが伝わっていくと思うからです。
今回は「ビジネススクールの真の価値とは?」をテーマに、イノベ大について語っていただきました。本日はありがとうございました。
イノベ大で一緒にスキルアップしよう
今回は、オープンイノベーション大学の全容をご紹介しました。
おさらいですがイノベ大とは、起業したい人やフリーランスの人が、ビジネスで結果を出すために必要なスキルがすべて学べるコミュニティです。
年齢や経歴といった参加資格は設けていません。挑戦したい意欲のあるすべての方を歓迎しています。
✅将来性のあるスキルを身につけたい
✅活発なコミュニティに参加したい
✅価値観の合う仲間に出会いたい
✅学びたいけど有料講座は厳しい
どれかに当てはまる方は、イノベ大向きです。一緒に学びましょう。あなたのご参加をお待ちしています。