働き方改革は国内の人口減少に対して、労働力や出生率を上げ、最終的には労働生産性を向上させる目的があります。
- 長時間労働の是正
- 正規職員と非正規職員の格差解消
- 多様な働き方の実現
以上の3つを柱として、政府は働き方改革に取り組んでいます。
本記事では日本の働き方と諸外国の働き方を比較しつつ、生産性を上げる働き方を解説していきます。
目次
日本の働き方の現状
「日本人の働き方は?」と質問されたら、みなさんはどのように答えますか。
- 残業が多い
- 休日出勤が多い
- 1日の労働時間(拘束時間)が多い
こんな答えが返ってきそうです。ところが、世界の労働時間ランキングをみていくと日本は22位です。
(https://www.globalnote.jp/post-14269.html)
年間の労働時間は1680時間で、月間22日(週休2日)稼働で計算すると1日あたり6.3時間程度です。
労働時間自体を分析すれば、そこまで仕事に時間を費やしているとはいえません。
その背景には祝日の多さやGWやお盆、年末年始といった長期休暇があることも影響しています。
ところが、現実とのギャップを感じている人は多いのではないでしょうか。
と感じているかと思います。
残念なことに日本では「過労死」という言葉もあります。
最近では、20代の女性が月105時間の残業をし、自殺するという事件もありました。
2019年4月から大企業、2020年からは中小企業に導入される時間外労働の上限規制では月間の時間外労働は45時間までと定められています。(働き方改革関連法により)
年間でも360時間が上限となりますので、異常とも思える時間外労働は原則できません。
ところが、「臨時的な特別の事情がある」とすれば月100時間未満まで時間外労働が認められています。
(月45時間を超えることができるのは年6ヶ月まで、2〜6ヶ月平均80時間以内)
(https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf)
月間100時間というのは、1日あたり3〜4時間程度の残業ができることを意味します。
そう考えると、
本当の意味での働き方改革ができるのか、疑問が残ります。
さまざまな資料を見ると、統計上は働き方改革が浸透していると判断できますが、業種によりまだまだ改革が進んでいません。。
例えば、建設・土木・設備工事、広告代理店、法律事務所などの業界は月間の残業時間が40時間前後です。
(https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1811/27/news080.html)
また、「朝5時~夜9時まで働き詰め、過労死も…自販機、ルートドライバーの超ブラック労働」
(https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_201908_post_114473/)
という記事にもあるように、業種によって過酷な労働環境であることは想像ができます。
長時間労働と生産性の関係
時間外労働はできるだけ避けたいことですが、それを好む人もいます。
残業代や休日手当などを狙って、時間外労働を行う人がいるのです。そう考えると、長時間労働や時間外労働が一概に悪いとはいえません。
しかし、長時間労働をすれば心身の健康が不安定になり、生産性が下がります。
仮に病気になれば、中長期的に働くことができず、収入が途絶えるかもしれません。
企業としても生産性の低下した従業員が多いと、利益が出ずらくなります。ですから、長時間労働は避けたいところ。
内閣府が公開している「働き方の変化と経済・国民生活への影響」では短時間労働が高い生産性をもたらすことがわかっています。
日本の年間労働時間を1700時間とした場合、1時間あたりの生産性は約40ドルです。
ドイツの年間労働時間は1350時間程度で、1時間あたりの生産性は60ドルという統計が出ています。
(https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je17/pdf/p02023.pdf)
同じ資料では日本だけではなくアメリカやドイツ、スウェーデン、フランスが比較されていました。
印象的なのは一人当たりの労働時間数が減少すると労働生産性だけではなく、雇用者数が上昇していることです。
また雇用者報酬についても同様の変化をしています。
生産性が上がることで企業は利益を伸ばし、従業員の給料も上がったと考えられます。
手本にしたい海外の働き方
ここからは、日本と海外の働き方を比較していきます。
まずは、働き方のお手本にしたい国を3つ取り上げます。
ドイツ
ドイツは生産性の高い国のひとつです。
1日に10時間を超える労働を禁止する法律があり、違反すると経営者が罰金を支払わなければなりません。
場合によっては禁固刑になることもあり、労働時間には厳格な対応をしています。
またドイツには、「労働時間貯金制度」というものがあります。
例えば、今日2時間の残業をしたら、翌日は定時より2時間早く帰宅してもいいというものです。
他にも年間24日の有給休暇取得が法律で義務付けられています。
(週5日勤務の場合)労働時間や有給休暇取得を法律で管理することで、休暇を取りやすいのがドイツの働き方です。
アメリカ
日本が働き方改革を推進する上で最良といえるお手本はアメリカでしょう。
アメリカは生産性に重点をおいている国で、参考になる部分は多いです。
ちなみに、アメリカの年間労働時間は日本とほぼ同じ。しかし、アメリカで働く人は、効率よく仕事をこなしています。
その理由は、1人が受け持つ仕事の量が関係しています。
日本の企業では1人が複数の役職を兼務したり、職責が幅広かったりします。つまり、社員1人が担当する業務が多いのです。
一方、アメリカで働く人は仕事の範囲が決まっています。「すべきことが山ほどある…」といった状況にはなりにくいです。
そして、定時に帰宅することが当たり前で、残業をしても評価されません。
仕事とプライベートの時間が明確になっていますので、メリハリのある生活が送れます。
スイス
少し違った角度で取り上げていきたいのがスイスです。スイスには優秀な人材が海外からも集まり、生産性を高めています。
2018年に発表された「IMD世界人材ランキング」や「人財競争力ランキング」では5年連続で首位です。ちなみに、日本はいずれも20位台。
人材教育に力を入れているスイスでは、16歳で義務教育が終わると、職業教育コースか勉学のために高校進学をするかの選択をします。
例年、3分の2以上が職業教育コースを選んでいます。
職業教育コースは専門学校で実習などを行うイメージです。1日8時間の授業を週2日受けて、入学前に選んだ職種に必要なスキルや知識を身につけていきます。
インターンシップもあり、高度な技術を身につける課程もあります。
日本でも大学生がインターンシップをしていますが、同様のことを若いうちから経験できる仕組みです。
インターンシップなら、企業側の採用や雇用のコスト削減にもつながります。
さらに職業訓練を積みたい場合は、高等職業教育を受けることができます。並行して大学で研究を進めたり、高度な教育を受けたりすることも可能です。
スイスでは人材教育に力を入れることで将来的な生産性の向上に努めています。
様々な国の働き方
日本が参考にできる働き方をしている国はまだまだあります。そこで7つの国の働き方を紹介します。
ベトナム
働き方改革は「多様な働き方」を柱の1つにしていますが、すでに実践しているのがベトナムです。
ベトナムでは複数の仕事をするのが当たり前になっています。半数以上が何かしらの仕事を兼業している労働者。
日本でいうフリーランスや個人事業主のような働き方の人が多いのです。
個人の能力やスキルを活かして働ける国といってもいいでしょう。
会社員で働くと労働時間の定めは日本とほぼ同じで1日8時間程度。休日は日本よりも少なく、長期休暇も旧正月の1週間程度です。
会社選びは自分に適しているかよりも給与の良し悪しで決める人が多く、少しでも待遇の良い会社が見つかれば転職します。
会社風土や価値観に合致しなくても、給与が良いと長期的に働くのが日本人との違いでしょう。
タイ
タイでは子連れ出社が当たり前の社会です。日本では考えにくい文化ですよね。
国全体で子育てを行うというタイの文化は、日本も見習うべき部分があります。
また女性の社会進出も進んでいる国で、会議の場で女性が積極的に発言をするのも当たり前です。
結婚や出産で会社を辞める女性はほとんどいません。それだけ国や会社が女性に対して理解を持っているのでしょう。
また、タイの変わった文化のひとつが「ながら作業」が容認されていることです。
- LINEで知人とやりとりしながら
- プライベートの電話をしながら
- 爪の手入れをしながら
- お菓子を食べながら
「結果重視」という考え方で、業務中に仕事以外のことをしても怒られることはありません。
ブラジル
ブラジルの働き方は、日本人からすれば羨ましい部分があります。
まず、1年のうち連続30日間の有給休暇を取得ができます。「バケーション休暇」と呼ばれるものです。
そのほかにも、1週間の労働時間は44時間、残業も1日2時間までと制限されています。残業代は日本よりも割合が高く50%の割り増しです。
イギリス
イギリスは正社員、パート、アルバイトの待遇面で区別がありません。アルバイトでもボーナスが出たり有給休暇を取得できたりします。
アルバイトの早期退社で、有給休暇を使わずに辞めても日数に応じた給与が支払われます。
また、イギリスでは定時で帰る人がほとんど。1週間に48時間以上働かせてはいけない法律があり、長時間労働ができない仕組みです。(専門職を除く)
イギリスに伝わることわざで「働くことは生きるため、人生は働くことが1番の目的ではない」というものがあります。
その意味はワークライフバランスを重視して、仕事とプライベートのメリハリをつけること。
家庭に仕事を持ち込んではいけないという考え方で、しっかりと休みをとって休息することが当たり前です。
申告すれば2週間や1ヶ月など、長期的な休暇をもらえます。会社も社員も休暇を取得することが重要と考えています。
スウェーデン
スウェーデンの働き方も見習うべきところがあります。労働時間は日本と同様で1日8時間、週40時間が基本です。
ただし、週40時間を超えての労働は法律で禁止されています。
フレックスタイム制を多くの企業が導入していて、ライフスタイルを重視して働くことが可能です。
勤務時間は定めてありますが、自分の都合に応じて時間管理ができるのも魅力のひとつ。リモートワークにも理解力のある企業が多く、「在宅勤務は当たり前だ」と思う人がほとんどです。
ヨーロッパの近隣諸国と同様で家庭を最優先にする考えが徹底されています。
例えば、子供の学校行事や送り迎えなどで遅刻や早退しても、許容されることが多いです。
残業の概念がなく、仕事をきちんとこなしていれば何も問題はありません。
勤務時間中はフィーカと呼ばれる休憩が1日2回あり、コーヒーやお茶を飲みながらゆっくり過ごす時間も確保されています。
有給休暇も年に最低25日(フルタイム勤務)ですが、それ以上の取得ができたり、勤務時間を満たしていない場合でもそれに応じた有給休暇が与えられたりします。ちなみに、休暇はまとめて取得する人が多いです。
オランダ
オランダは平均労働時間が短い国です。
多様な働き方を実現しており「子供が世界一幸せな国」といわれています。
週休3日にしている会社も珍しいことではありません。
休暇制度が整備されていることも特徴で、父親休暇や産前産後休暇、養子休暇、短期介護休暇、育児休暇などの休暇制度があります。
休暇の種類によって違いはありますが、休暇中の所得が100%保証されるのもポイントです。
経営者が休暇の申請を拒否することが禁止されており、社会全体で休暇を取得やすい環境になっています。
また、フレキシブルワークを導入し、労働者の2割以上がオフィス外勤務やテレワークでの勤務を実施。女性の雇用環境も進んでいて母親の7割は就業しています。
日本では、3歳以下の子供を持つ母親のほとんどが就業していないため、オランダは女性の就業や子育ての先進国ともいえるでしょう。
そのほか、正社員とパートタイムの賃金差が少ないことも特徴です。政府が主導して男女や正社員、パートタイムといった区分で賃金や社会保障に差をつけることを禁じています。
フランス
フランスも休暇取得に積極的な国です。バカンスと呼ばれる休暇を年に5週間取得できる法律があります。
5週間を一気に消化する必要はなく、夏と冬に分けて取得することも可能です。
それだけの長期休暇があると、仕事にも影響が出そうですが、その心配はいりません。
「担当者は●月×日までいませんのでお待ちください」と他の社員が対応してくれます。もちろん、別の社員に引き継ぐこともあります。
また雇用形態にも区別はなく、アルバイトやパートでも、バカンスや週35時間労働は共通項目です。また、テレワークが浸透しており自宅での仕事も可能です。
残業も一切なく、仕事が終われば皆が一斉に帰宅し、プライベートの時間を過ごします。
面白い取り組みをしている企業
さまざまな国の働き方をみてきましたが、日本にも面白い取り組みをしている企業があります。
ここでは電子部品メーカー大手の「アルプス電気」の取り組みを紹介します。
アルプス電気では、削減できた残業代の一部を社員のボーナスに上乗せして還元する取り組みを2018年から実施しています。
長時間労働がなくなり、残業代がもらえず年収水準が下がってしまうことを防ぐ目的です。
働き方改革を行う上で、参考になる取り組みと言えるでしょう。
生産性を上げる働き方を実現しよう
本記事では働き方や生産性について取り上げてみました。海外と日本の働き方には大きな違いがあります。
日本でも、少しずつではりますが長時間労働の改善や休暇取得について改善されつつあります。
まずは、現状で自分がどのような働き方をすれば、生産性を向上できるのか考えてみましょう。
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